「しかし、イエスは振り向いて、ペテロに言われた。「下がれ。サタン。あなたはわたしの邪魔をするものだ。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている。」」(16:23)
「人のことを思っている」と訳された「人」は複数形なので、岩波訳では
「人間のことがら」
と訳しています。つまり、イエス様はペテロの発言は、イエス様のことを気にかけているものではなく、人間的なものだと言います。ペテロの発言の背後には当時のユダヤ教の熱烈な政治的メシア(キリスト)像があります。反乱軍の指導者となるような人物が、そんな不吉なことを言っていてはダメじゃないですかと。軍事的メシヤ像、これが「サタン」が導こうとした方向でした。イエス様は言われます。
「盗人が来るのは、盗んだり、殺したり、滅ぼしたりするためにほかなりません。わたしが来たのは、羊がいのちを得るため、それも豊かに得るためです。」(ヨハネ10:10)