「それは、彼がこう言ったからである。『私は自分の手の力でやった。私の知恵でやった。私が、国々の民の境を除き、彼らのたくわえを奪い、全能者のように、住民をおとしめた。』」(10:13)
イザヤ書10章は、当時最強のアッシリア帝国に対する預言の言葉が記されています。ですから、13節の『彼』とはアッシリアを表わしています。イザヤ書は、ちょうど北王国がアッシリアに滅ぼされた時代に書かれました。イザヤが活動していた南王国もまた、このころアッシリアの脅威にさらされていました。アッシリアの傲慢な姿をこの箇所からでも容易に想像することができます。しかし、この僅か100年後にアッシリア帝国は完全に滅ぼされてしまうのです。17節に
「一夜のうちに焼き払うでしょう」(LB)
とありますが、首都ニネベが破壊され、炎に包まれたことが考古学の発見からも確認されています。
どんな強国も栄枯盛衰していくように人間は全能ではありません。神のみが全能者です。