「神の子、イエス・キリストの福音のはじめ。」(1:1)
当時の公用語であったギリシア語の「福音」の意味は「新しい皇帝が即位する知らせ」のことでした。
また、当時のローマの貨幣は、皇帝を「神の子」(DIVI F)と刻んでいました。
ですから、先が見えない迫害の中にいたキリスト教徒たちに「神の子の福音」と記したことに、大きな意味があります。
ローマ帝国の使者は「ティベリウスが皇帝に即位した。この方に忠誠を尽くしなさい」と告げました。
福音書はそれに対して「イエス・キリストがまことの王となられた。この方に忠誠を尽くしなさい」と告げます。
実際、当時のキリスト者たちはこう訴えられました。
「彼らはみな、『イエスという別の王がいる』と言って、カエサルの詔勅に背く行いをしています。」(使徒17:7)
これはつまり、富と力がすべてというローマの支配に対して、信仰と希望と愛というキリストにある支配を告げ知らせていたということです。